日帰りで治療をすることが出来るレーシック手術ブログ:22 6 22
2週間前、ふた月振りに母が帰ってきた。
「お父さんの還暦祝いをするんだけど、来てくれる?」
親父の勤務地が変わって、
母は親父と千葉へ行ってしまった。
そして、母はときどき一人で千葉に帰ってくるのだ。
母が戻る日…
ぼくは仕事で休めなそうにないから無理だと言うと、
母は寂しそうな顔で家を出ていった。
ぼくは家で一人ぼっちになると、
母には悪いことをしたなぁ…と後悔した。
沈んだ気分を吹き飛ばしたくて
ぼくはテレビをつけた。
司会者とゲストが楽しそうにおしゃべりしている。
その遣り取りで、
ぼくはゲストが司会者から電報を受け取っているのが気になった。
「そういえば、電報という手があるな!」
親父の還暦祝いに、
ぼくは真っ赤な鳳凰が羽ばたいているデザインのカードを選んで、
メッセージを添えて贈ることにした。
親父の還暦祝いが行われた翌日、
母から電話がかかってきた。
母の声はいつもより弾んでいた。
「ありがとう。電報届いたよ。
感情をあまり出さないお父さんの久しぶりの笑顔が見れたわ」
「お父さん、喜んでくれたんやな」
「当り前よ。お父さんね、メッセージを読んでからしばらくの間、
鳳凰にみとれていたわ」
おしゃべり好きの母の話はいつものように脱線し、
なかなか話が尽きなかったが、
ようやく電話を切ることができた。
母の声が聞こえなくなると、
今度は親父の姿が浮かんだ。
今頃
座敷に胡坐をかいて愉快な顔で
親父はお酒を飲んでいるのかなぁ…
その横で、あの真っ赤な鳳凰は羽を休めていることだろう…